珍事件手記
1話 誤 解

 依頼内容は、暴力団事務所の組長の浮気証拠写真の撮影である。
 その暴力団事務所は、頑丈な鉄の扉で閉ざされ、窓にも鉄の鎧戸が施されている。
そして、四方八方が監視できるように、いたる所に監視カメラが設置されているような「要塞」と称してもおかしくない建物であった。
 何処かに良い張り込み場所が無いか探した所、組事務所前に廃墟ビルがある。
私は、その屋上にて張り込みを開始することにした。
 二時間程が経過した頃、不意に後ろから肩を叩かれた。
 びっくりして振り向くと、人相が悪い如何にも極悪人と思われる屈強な男性4人に囲まれているではないか。
 私は、一目散にその場から逃げようと、一人の男を突き飛ばして走り出した。
しかし、後ろから腰を羽交い締めにされ、倒されてしまった。
 どうせ殺されるのなら、とことん暴れまわってやると思い、必死に反撃したが、もうこれまでか、と思った時である。
その中の一人が、私の右腕を掴んだかと思うと、手首に冷たい感触が伝わり「ジャリッ」という音がした。
 私の手首を見ると、手錠が掛かっているではないか???
「手間掛けさせやがって、署でゆっくり話を聞こうか」
 私は、覆面パトカーに乗せられ、警察署に連行され、散々しぼられた。
警察であると告知する暇もなく、私が殴りかかったから、私が悪いと言うのである。
 「どうして私服警官が来たのか」と質問したところ、少し前に郵便強盗事件が発生し、非常体制を執っていたところ、「おかしな人物が廃墟ビルの屋上に居る」との通報を受け、強盗犯人が私の風体にそっくりであったらしい。

メニューへ戻る
2話に進む
ts@tanteisha.net

探偵養成所カウンター