珍事件手記
7話 連 携

私のデスクの電話が、けたたましく鳴り響いた。
依頼者は、3日前から誰かに尾行されている様子で、依頼者がその車輛に近付くと、直ぐに走り去ってしまう。
尾行される心当たりも無い。
私は、詳しい状況を聞くために、3時間後に依頼者と喫茶店で待合わせる事とした。
私は、依頼者からの電話を切った後、直ぐに一人の調査員を依頼者宅周辺で、張込ませた。
そして、別の調査員を陸運局に向かわせ、待機するように指示した。
以上2ヶ所に調査員を配備して、私は待合せ時間の30分前に喫茶店に入った。
まず、第一報が私の携帯電話に入った。依頼者宅周辺で張込んでいる調査員からである。
「依頼者が自宅を出ましたが、尾行車輛があります。ナンバーは・・」
その連絡を受けて、直ぐに陸運局にて待機している調査員に、指示を与えた。
「車輛ナンバーは・・・直ぐに車籍を出してくれ。」
暫くして、第2報が入った。
「依頼者が待合せの喫茶店に到着しましたが、尾行車輛が付いています。」
喫茶店に依頼者が入ってきたので、私は合図を送り、合流した。
その時、陸運局で車籍を挙げている調査員から第3報が入った。
「車籍が出ました、所有者・使用者共に、氏名・・住所・・」
私は、会社に連絡し、車籍住所地に調査員を向かわせ、飛込みで聞込みをするように指示した。
詳しい状況を依頼者から聞き、調査契約書にサインしてもらった時、第5報が入った。
「聞込みしたところ、その車輛を運転している男性は、スナックのマスターで、自宅には妻がおり、その妻は同じスナックでママをしている。スナックの店名と住所は・・・」
私は、依頼者にスナックの店名を告げ、知っているか聞いた。
「そのスナックは、私が良く行く所ですが、どうしてそのような事を聞くのですか?」
依頼者は不思議がっている。
私は、依頼の電話を受けた直ぐ後から調査を開始し、尾行者がその店のマスターである事実を短時間で調べ上げた事を依頼者に報告した。
「そう言えば、スナックのママが私に愚痴をこぼしていた事があった。マスターがヤキモチ焼きで、客と浮気をしていると勘繰っている。と」
一件落着である。
依頼契約書にサインしてもらって、3分と経たない事件解決である。
しかし、依頼者の言葉が尚も続いた。
「こんなに早く調査が出来るのなら、調査料金が高すぎる!!!」

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